小児歯科
早めの歯科医院デビューを
乳幼児健診(1歳6ヶ月、2歳、3歳児)や幼稚園・保育園の健診でむし歯が見つかったら、早めに受診をしてください。初期のむし歯であれば、削らず抑制処置で終われるかもしれませんし、小さな穴であれば歯の色と同じような詰め物で修復することで、見分けがつかないほどきれいに治せます。
健診でむし歯がなくても、むし歯予防や正しい仕上げ磨きの方法をこの頃から身につけていくことがとても大切だと思います。この時期の悪い習慣のためにむし歯になってしまうことが多く、乳幼児期にむし歯をつくってしまうと進行しやすく、治療を受けることがお子さんはとても苦痛になります。その結果「歯医者嫌い」になってしまいます。予防処置のために歯科医院へ定期的に通い、歯を削らず一生を送ることが大切だと思います。
反対咬合(受け口)、過蓋咬合(深い噛み合わせ)、叢生(スペース不足)などの噛み合わせや歯並びの異常、口呼吸、舌を出して飲み込むなど悪い癖は、見た目や恰好が悪いだけでなく全身的な成長の悪影響も心配なので、早い時期に気づいて修正するべきだと考えています。口の機能の発達不全や悪い癖を放置することは、成長してからの不正咬合や好ましくない形態の口と顔面を招くことになりますので、正しい口の使い方を知り、実践することで成長・発育を少しでも良い方向に導けます。マウスピース(プレオルソなど)による治療も3~4歳頃から可能です。少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。
慣れるところから始めましょう、歯医者嫌いをなくしたい…
私自身、子どもの頃はむし歯が多くて歯科の治療が苦手でした。そう「歯医者嫌い」です。だからこそ、早めの歯科医院デビューでむし歯にならない人生を勧めています。でも、むし歯になって治療をしなければならないとしたら…。
はじめから治療を強いることはしたくありません。まずは、歯科医院とそのスタッフに慣れてもらうことからです。知らない人にお口の中をいじられるのは、誰でも嫌ですから。
歯磨きしているのになぜむし歯になるの?
この疑問に答えるためのポスターを掲載しました。
歯磨きをすることよりも、食べたり飲んだりする間隔を空けること、夜眠る前は何も食べず、歯磨きをしてお口をきれいな状態にしておくことがむし歯予防に大切だとわかります。
無理やり治療することはありません
当院では、泣いたり嫌がっているお子さんを押さえつけて無理やり治療しません。お口をあまり開けずモゴモゴしていたり、唇が強張ったり、歯を食いしばっている状態で、無理に治療することはとても危険だからです。
まずは医院やスタッフに慣れることから始め、その次に口を開けることを促すマッサージやお口の体操をして、危険がない状況を作ってから治療に入ります。ご希望であれば、親御さんが診療台の近くにいることも可能ですのでご安心ください。
また、むし歯ができやすいお子さんは、食べ物の咀嚼に時間がかかる、柔らかい食べ物が好き、口が敏感、舌が無意識に出てきてしまうなど、口の機能や使い方に問題があるケースが多いので、無理な治療はとても負担だと思います。1ヶ月に1回の来院などにして、簡単なことから少しづつ慣れることが大切です。
必要な応急処置はしっかり行います
ただし、痛みがある、膿が溜まっているなど応急処置が必要な場合は対応します。痛みで眠れなかったり、食事が摂れないのでは健康を損ないます。
応急処置は、痛みを抑えるための仮詰めや薬の処方、むし歯の進行を抑制する処置などですが、患部の状況にもよります。もちろん、保護者の方へご説明とご相談をし、同意をいただいてから治療しますので、安心してお子さまをお連れください。
子どものフッ素(フッ化物)塗布について
フッ素塗布には、歯を強化する働きがありますので、大人だけでなく、歯が生え始めた子供にも有効な予防方法です。フッ素塗布を小さい頃から習慣化することでより、むし歯の脅威からより遠ざける事ができます。また、お子さまの初めての歯科受診のきっかけにしている方もいらっしゃいます。初期のむし歯の進行予防と再石灰化にもフッ素塗布が有効です。健康保険が適応しますのでお気軽にご相談ください。
穴になってしまったむし歯は自然治癒することがないので、削って詰める方法で行いますが、削った歯は元に戻すことができませんし、むし歯は表面の穴が小さくても奥の象牙質(ぞうげしつ)で大きくなっているので、どうしても大きく削ることになります。
そのため、むし歯の進行が遅ければ、食生活の改善や、フッ化物の使用で進行を抑えることで経過をみた方が良い場合もあります。その際は口腔内写真やレントゲン写真で定期的に経過を観察するとともに、機械的な歯面清掃(PMTC)や進行抑制剤や高濃度のフッ素塗布などを行います。
「私自身が出会いたかった歯科医」を目指します
しっかり予防ができれば、歯を削ったり抜く必要がなくなるので、予防は歯の治療の痛みや不快さを排除するために適した方法です。予防の意識が高まることは、地域の人々も医院も患者さんも皆が幸せになることにつながるので、ぜひお勧めしていきたいと考えています。
また私自身、小さい頃に「歯医者嫌い」にならなければ、もう少し良い歯でいられたかも…と思うのです。だからこそ「自分が小さい頃に出会いたかった歯科医」になりたいと考えています。