丁寧な治療
大学入学前、歯科医師の織家 勝（おりや まさる）先生の執筆された『かしこい歯医者のかかりかた』という本を書店で見つけました。その本はまだ私の書棚に入っています。
むし歯や歯周病そして歯科治療の細かい内容について専門的なことまで含め詳しく書かれていて、歯科大生になっても役に立った記憶があります。
またその本には、当時の歯科医療現場ではたくさんの患者さんを診療するために、短時間で処置するような丁寧さに欠けた治療がされていることや、技術面で拙い歯科医もいるために治療後の予後が悪くなることがあると書かれていました。
その一方で、本来あるべきしっかりした治療法がわかりやすく解説されていて、時間をかけて正確に丁寧に治療することが治療後の歯の寿命に大きく関係することが素人の私にもわかるように書かれていたのを覚えています。
多くの医療職の中で私が歯科医師という職を選んだ理由がそこにあります。自分の手掛けた仕事が具体的な形になって人知れずでも残っていて、その結果を見ることができるのは歯科の特徴であり、私に興味を抱かせるポイントでした。
そして、他の歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士などのコ・デンタルスタッフといわれる方たちが見ても恥ずかしくない治療を目指してきたつもりです。
「玄人に見られても恥ずかしくない治療」とでもいうべきでしょうか？もちろん、もっと高度で専門的な治療をしている先生がたくさんおられるので、地域の「かかりつけ歯科医」という立場の中での目標ではあります。
具体的にはクラウン（冠）の縁や詰め物と歯の段差がないようにぴったり合わせる、詰め物や根管充填は緊密に、デッドスペース（死腔）がないようにするなど、基本的なことが良い結果につながります。
